お気に入りリンク

2013年06月05日

中庭のつつじ

_MG_0080.jpg-s.jpg-ss.jpg


突然、私の窓の面している中庭の、とっくにもう花を失っている躑躅つつじの茂しげみの向うの、別館べっかんの窓ぎわに、一輪の向日葵ひまわりが咲きでもしたかのように、何んだか思いがけないようなものが、まぶしいほど、日にきらきらとかがやき出したように思えた。私はやっと其処そこに、黄いろい麦藁帽子むぎわらぼうしをかぶった、背の高い、痩やせぎすな、一人の少女が立っているのだということを認めることが出来た。……誰かを待っているらしいその少女は、さっきから中庭のあちらこちらに注意深そうな視線をさまよわせていたが、最後にその視線を、離れの窓から彼女の方をぼんやり見つめていた私の上に置いた。
堀辰夫  美しい村 


posted by tsuruyaryokan at 00:01| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。